<心のコンサート・その29>順延のご案内

すっかりご無沙汰申し上げております。新型コロナウイルスにより社会が一変してしまいましたが、皆さまにはいかがお過ごしでしょうか?自粛生活という、これまでに経験したことのないような社会的環境に振り回されているうちに月日がアッという間に飛び去り、やっとご報告の手紙を認めています。
本来でしたら10月25日(日)には代官山ヒルサイドにて皆さまにお会いしているはずでしたのに・・・と無念な気持ちでいっぱいですが、お客様の安全を最優先に考えますと今は耐え、延期することが賢明、との判断でした。練りに練った今回の企画はそのまま、来春2021年4月25日(日)に順延いたします。
素敵なゲストをお招きしていますので(内容はナイショ・・・笑)どうぞ指折り数えて(本当に!)楽しみにお待ち下さいませ。それにしても長い期間、皆さまにお会いできない淋しさは言葉になりません。
アメリカの最悪なコロナ事情はきっとニュースでご存知のことと思います。未だ LIVEのイベントや演奏会などの大半は開催中止・延期のままです。日本では既に劇場関係やイベント、演奏会などの開催が徐々に始まっている様子ですね。羨ましい思いに駆られますが、実施するには主催者による感染防止の徹底が欠かせません。個人主催の演奏会では残念ですが、そこまで取り仕切る体力も人手もないのが現実です。
今はとにかく健康第一に、現状に負けることなく希望を持ち、工夫ある取り組みが大切だと感じます。素晴らしい音楽がより良い世界を築く日の訪れを願い、先を明るく見て頑張りますので、今後ともどうぞよろしく応援して下さいませ!
何らかの形で私の演奏に触れていただきたく、過去の演奏記録からピックアップして YouTube や他のインターネット配信などの準備中です。近日中に私のHP:http://www.junko002.com/ に詳細を掲載いたしますので、是非覗いてみてくださいね。また、皆さまとの<チャットコーナー>も設けたいと思っています。お会い出来なくてもちょっとしたおしゃべりが実現できたら素敵だな・・・そんなことを考えていると気持ちが明るくなり、幸せ気分(笑)です!
まだまだ制限付きの生活が続きます。どうぞご自愛のうえ、何よりもお気を付けてお元気にお過ごし下さいませ。
再びお目に掛かれます時を心待ちにしております!

大津 純子
ニューヨークにて
2020年10月24日

追伸:今、アメリカでは11月3日の大統領選を控え、大荒れの社会情勢です。
経済力と知力の格差は人々を分断し、これまで大切にされてきた良識や価値観は葬りされかけています。優位な生活層の人々にとって、コロナ犠牲者の数は考慮に値しないようで、嘗て私が感銘を受けた「バランス感覚」と「自浄力」、そして世界が憧れた「アメリカン・ドリーム」は戻ってくるのだろうか・・・現政権が続くようならアメリカの民主主義は崩壊に向かうかもしれない・・・と憂慮する思いでいます。
「民主主義」というものは市民にそれを守り抜く強い意志が存在しなくてはなりません。とても多くのことを考えさせられる日々となりました。こんなアメリカの姿を見ることになるなんて、想像もしていませんでした・・・

4月19日(日)<心のコンサート その29>延期のお知らせ

ご無沙汰いたしております。
ご無事にお過ごしでいらっしゃいますか?

4月19日(日)に予定しておりました 於・代官山ヒルサイドプラザ
『心のコンサート その29』は、お客様皆さま、そしてスタッフとして
関わってくださる方々への配慮から、10月25日(日)に延期 することといたしました。時期が近づきましたら改めてご案内を差し上げたく存じます。
どうぞ今暫くお待ちくださいませ。

春の訪れを讃える美しい音楽と知的興味をそそるトークを楽しんでいただき、また、皆さまとの半年振りの懐かしい再会を心より願っておりましたので、
とても残念で淋しい思いがいたします。でも、今は皆で力を合わせて 未曾有の困難を乗り越えていくことが一番大切なのだと思います。

この手紙を準備しております間にも、新型コロナウイルス問題は刻一刻と
深刻な状況へと発展し、世界規模の拡大を続けています。
一日も早い事態の終息を願いつつ、犠牲になられた方々への追悼と 身を賭して医療・対応に従事されています皆様への感謝の思いはつのるばかりです。

いつも向けてくださる温かいご支援に心より感謝申し上げ、
音楽を通してお客様皆さまの心に明るい灯火が広がってくれることを
願いながら、新たに10月の企画と準備に勤しんでいる毎日です。
どうぞ どうぞ ご自愛くださいますよう お祈り申し上げます。

10月25日には 再びお会いできますことを楽しみに・・・

大津 純子
アメリカにて
2020年3月15日

心のコンサート28 ご来場ありがとうございました。

11月に入り、あれだけ荒れ狂った天候も安定し、美しい秋晴れが続くようになりました。皆さまには如何お過ごしですか?

御礼と ご報告が遅くなりました。先日は再び多くのみなさまにご出席いただき、お陰様で盛会のうちに終えることが出来ました。誠にありがとうございます。

今回の選曲は、R. シュトラウスのヴァイオリン・ソナタ以外は小品ばかり・・・という ちょっと趣向の異なるものでしたが、多くの方々から「次から次へと繰り出される素敵な曲目に心を奪われ感動しました」という嬉しいご感想を頂いています。

今回は長年の友人、コレット・ヴァレンタインがテキサス州オースティンから再び来日し、とても楽しいアンサンブルが可能となりました。偶然だったのですが、ゲストの岡ノ谷一夫先生はメリーランド州立大学で博士課程をおさめられています。コレットも学士と修士課程をメリーランド大学にて取得しているんですよ。岡ノ谷先生とお話していたら、在籍時期も重なっていて思わぬご縁にビックリ!冗談好きでいらっしゃる先生は”二人が在籍中にデートしていたかどうか・・・それは分かりませんよ” などと茶目っ気たっぷりにおっしゃり、皆で大笑いしました。

”小鳥と人間だけがリズムを取り歌うことが出来る”といったインパクトの強い先生のお話にお客様皆さま大変驚いていらっしゃいました。先生のお話は伺っていて本当に楽しく、不思議な自然界のメカニズムに改めて興味をそそられました。豊かな時間をありがとうございました。

さて、当日配布したプログラムに 選曲の思いなど認めました。聴きにいらして頂けなかった方々へのメッセージとして、その一部を下部に引用させてくださいね。

≪様々な思いをたずさえて・・・≫

なんてことでしょう・・・あまりに多い自然災害の数々。特に前代未聞の規模だった台風19号による被害の酷さに唖然とし、哀しみの ため息が出るばかりです。犠牲者の方々のご冥福を祈り、被災者の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。台風の被害は大きな衝撃でしたが、実はもうひとつ悲しい報せがありました。

長年大きな刺激を与えて続けてくださった、イラストレーターの和田誠さんが今月7日にご逝去されました。和田さんの作品には彼の温かく優しいお人柄が反映されていて、目にする度にいつも心が ほんわかとしてまいります。

当コンサートのロゴ・マーク、ヴァイオリンを弾くネコちゃんは、和田さんが『マザー・グース』(英米における伝承童謡)から選んでデザインして下さったもの。ジャンルを問わず 大変博識でいらっしゃり、帰国の折りには“コンサートの打ち合わせ”と称して(笑)盃をかたむけながら沢山のことを学ばせていただいた楽しい時間を思い出します。ご冥福を心よりお祈りいたします。

このコンサートのために私の大好きなレパートリーを並べてみたら色彩豊かなポエトリー(Poetry)が出来上がりました。だからタイトルは≪音の詩人たち≫。

リヒャルト・シュトラウスは19世紀から20世紀にかけてドイツが輩出した最大の作曲家です。リストやワーグナーの後継者として交響詩(Symphonic Poem)や楽劇(ワーグナーによって創始されたオペラ様式のひとつ)の分野で後期ロマン主義の極点に到達した彼は、斬新な和声や巨大な管弦楽編成を用いることで近代音楽への一つの方向性を拓き、次世代の作曲家たちに多大な影響を与えました。19歳の頃の作品10「8つの歌」はヘルマン・フォン・ギヨムの詩『最後の木の葉』による歌曲集。第8番<万霊節>では亡くなった大切な人への思いが心に染み入るように歌われます。因に、万霊節はキリスト教では すべての死者の魂のために祈りを捧げる日(通常11月2日頃)で、亡くなった人の魂が家族のもとに帰ってくると考えられていて(季節は異なりますが)日本のお盆の慣習に通じるところがありますね。あまりに美しくてヴァイオリンで演奏したくなりました(笑)。24歳の時に作曲された、壮大な構想とエネルギー、詩心溢れるヴァイオリン・ソナタ変ホ長調作品18。第二楽章(Improvisation: Andante cantabile)で繰り広げられる夢のような幻想性と煌びやかなハーモニーはオペラ『ばらの騎士』を彷彿させます。

フランス人作曲家オリヴィエ・メシアンは敬虔なカトリック信者で、“音楽に於ける人間性の回復”を常に念頭に作曲。音を聴くと色彩などを感じるシナスタジア(sinesthesia=共感覚)の持ち主であったといわれています。鳥類学者として世界中の鳥の声を採譜して作曲するなど、“自然界のすべてに神(絶対者)の造形の妙をみる”という神秘主義的なカトリック世界観に基づいて新しい音響を探求し、ピエール・ブーレーズを始めとした前衛音楽作曲家たちに大きな影響を与えました。エキゾチックな美しいハーモニーによるヴォカリーズ・エチュード(1935年)からメシアンの世界をちょっぴり垣間みていただけたら嬉しいです。今日のゲスト・岡ノ谷一夫先生は、“音楽と言葉は、鳥の歌がもとになっていると考えています”と仰っていますが、鳥の声にこだわりを持っていたメシアンは、もしかすると岡ノ谷先生に相通ずる感性の持ち主だったかもしれませんね。

武満徹さんは日本を代表する現代音楽作曲家ですが殆ど独学で音楽を学んだとのこと。洋楽器で編成されるオーケストラに尺八などの和楽器を取り入れた作品『ノヴェンバー・ステップス』は西欧の音楽家・評論家に衝撃を与えました。1951年に詩人・滝口修造がひらいた若手芸術家集団「実験工房」の結成メンバーに加わり、前衛的な音楽活動を展開します。ヴァイオリンとピアノのための作品『妖精の距離』(1951年)は滝口修造の同名の詩からタイトルをとっています。そして≪妖精≫がキーワードとなり、私のイメージはR.シューマンの『おとぎの絵本』に繫がりました。本来はヴィオラ曲なのですが、そのロマン性に魅了されての挑戦です。

コンサート実現のために いつも温かく後押しして下さる実行委員会の皆さま、そして、コンサートの現場を支えるスタッフの方々、ご来場の皆々さまに心より御礼申し上げます。

大津 純子

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次回は2020年4月19日(日曜日)となります。会場は同じ代官山ヒルサイドプラザ、開演時間も午後5時半です。喜んでいただけるプログラムを思案中です!お楽しみに!!

どうぞ又皆さまお誘い合わせの上ご出席くださいね!!

 

 

心のコンサートその28

Junko’s Heart to Heart Concert No. 28
大津 純子 心のコンサート その28
≪音の詩人たち〜THE MAGICAL WORLD OF TONE POETS≫

猛暑がやっと終息しホッとしていますが、その後 皆さまにはお変わりなくお過ごしでいらっしゃいますか?

早速ですが、来る10月27日(日)代官山ヒルサイド・プラザにて開催の『心のコンサート・その28』のご案内です。午後5:30開演となります。
同封のチラシにお目を通していただけますと嬉しく存じます。

旧暦では8月下旬から10月上旬ごろのことを<葉月>と呼ぶとのこと。
とてもきれいな表現だなぁ、と感心しています。少しずつ木々が色づき始め、落ち葉もハラハラと・・・次に待ち受ける晩秋の気配も感じられ、それとなく愁いをおぼえる季節ですね。そんな気分にぴったり添うような、美しい色彩と詩ごころあふれる作品の数々をお届けします。
長年の友人、コレット・ヴァレンタインを再びピアニストに迎え、トーク・コーナーには生物心理学者の岡ノ谷 一夫先生がご出演くださいます。
先生は人の言語の研究で知られており、小鳥の歌声やそのメカニズムからヒトの言語の起源を読み解き、また最近は動物コミュニケーションの研究から音楽と言語の起源を探っておられるとのこと。語り口も大変気さくでおられますし、貴重で楽しいお話を色々とご披露いただけることと思います。乞うご期待!!

お申込み・お問合わせは 電話&Fax:03-3486-8740 まで、
また、インターネットお申込みは http://www.junko002.com/ にて
受付けております。どうぞ お繰り合わせの上、お誘い合わせてご出席下さい
ませ。当日お会い出来ますことを心待ちにしています!!

大津 純子 2019年9月吉日

Junko’s Heart to Heart Concert No. 28
大津 純子 心のコンサート その28〜 ≪音の詩人たち〜the Magical World of Tone Poets≫

☆日時:2019年10月27日(日)開演17:30(開場17:00)

☆場所:代官山ヒルサイドプラザ(ヒルサイドテラス内)

☆入場料:一般6,000円 高校生以下 半額(懇親会でのワイン、飲み物、オードブル付)

☆問合せ・お申し込み:大津純子室内楽実行委員会

Tel & Fax:03-3486-8740 Internet:http://junko002.com/

<プログラム>
☆リヒャルト・シュトラウス:<万霊節>作品10-8 〜『「最後の葉」による8つの歌曲』より
Richard Strauss (1864〜1949) :Allerseelen (AII Souls’ Day) Op.10−8

☆リヒャルト・シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ変ホ長調作品18
Richard Strauss (1864〜1949): Violin Sonata E flat Major Op.18

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☆Junko’s Heart-to-Heart Talk:
 お話:岡ノ谷 一夫氏
 Junko Ohtsu & Professor Kazuo Okanoya (Biopsychologist) 

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☆オリヴィエ・メシアン:ヴォカリーズ・エチュード
Olivier Messiaen (1908〜1992) :Vocalise-étude

☆武満徹:妖精の距離
Toru Takemitsu (1930〜1996) :Distance de Fée for Violin and Piano (1951)

☆ロベルト・シューマン(1810-1856) おとぎの絵本作品113c
Robert Schumann (1810〜1856) :f rom Märchenbilder Op. 113

☆アレクサンドル・グラズノフ:グランド・アダージョ(バレエ『ライモンダ』より)
Aleksandr Glazunov (1865〜1936) :Grand Adagio from “Raymonda” Op.57

<演奏>
出演:大津 純子 Junko Ohtsu, Violin
   コレット・ヴァレンタイン Colette Valentine, Piano
ゲスト:岡ノ谷 一夫氏 生物心理学博士・東京大学大学院教授

お申込み・お問合せ: Tel&Fax 03-3486-8740
Internet http://www.junko002.com/

【Special Thanks】ヒノキ新薬株式会社 取締役社長 阿部 武彦 様
協賛:株式会社ICMG、Do Good Associates、合資会社 大和川酒造店
協力:株式会社 小田原 鈴廣、ワインズ新富屋、NPO えこお、株式会社 Dia-cubed
主催:大津純子室内楽実行委員会

今回のコンサートのチラシは、下記を御覧ください。
チラシ表面
チラシ裏面

SCC Summer Roses 2019のご案内

7月14日(日)ニューヨーク郊外サウスハンプトン(ロングアイランド)で催されるコンサートです。

“Songs without Words (Vocalise) ~ the magical world of Tone Poets”

*出演:大津純子・ヴァイオリン、コレット・ヴァレンタイン・ピアノ

*会場:Southampton Cultural Center,  Levitas Center for Arts

25 Pond Lane, Southampton, NY 11968

*時間: 午後5時〜6時の一時間。

*入場料:35ドル(14歳以下のお子さんは 入場料無料)

*コンサート終了後に簡単なレセプションあり。

*チケット問合せ: www.scc-arts.org (online purchase) Tel. 631-287-4377 または 当日受付にて購入可

ピアニストは<心のコンサート その26>で共演した長年のパートナー、コレット・ヴァレンタインなので楽しみです。
たまたま(笑)ニューヨークにおられましたら是非お立ち寄りくださいね!

Please save the date!

“Songs without Words (Vocalise) ~ the magical world of Tone Poets” Junko Ohtsu, violin  Colette Valentine,  piano

Sunday, July 14, 2019, at 5PM at the Southampton Culture Center, Levitas Center for the Arts : 25 pond Lane, Southampton, NY.

  • General Admission $35 ~ Free Admission for Children under 14
  • The reception follow after the performance
  • Tickets may be purchased online at www.scc-arts.org or by calling 631-287-4277 or at the door.

If you happen to be in the area, please drop by!The reception will follow after the performance.
Look forward to seeing you!!
Junko?

心のコンサート27 ご来場ありがとうございました!

ご無沙汰しています。お変わりありませんか?なんと気付いたら梅雨入り宣言が出てしまいました!!オドロキ・・・

4月から5月にかけては日本にとって大きな転換の時でしたね。ちょうど日本に滞在していたので、色々な新しい体験が出来たことは幸運でした。新天皇陛下・新皇后陛下とともに『令和』の時代に、日本が良い形で発展して行けたら嬉しいですよね。ただ、世界中の政治・経済・自然環境の変化激しい今、これからの私たちはどのように進んで行くべきなのか・・・色々と考えさせられます。

さて、先日はお忙しい中、<心のコンサート・その27>にご来場くださりありがとうございました。すっかり御礼が遅くなり申し訳ありません。いつものように本当に多くのお客様がご来場くださり とても幸せでした。感謝申し上げます。

今回はドヴォルザーク作品23とロベルト・シューマン作品47という二曲のピアノ四重奏曲名作を、米国フロリダ州ボカ・ラトンから来日した友人ピアニストのイリーナ、そしてヴィオリスト・森口恭子さん、チェリスト・渡部玄一さんという素晴らしい音楽家たちと一緒に熱のこもる演奏ができて幸せでした。

ドヴォルザークのピアノ四重奏曲では、華やかな第2番作品87の方が第一番より圧倒的に人気があって、第1番作品23はどちらかというと地味な印象を持たれています。でもスラヴ的な色彩が濃厚な第1番は彼の若いエネルギーと歌心がすごく魅力的!第2楽章の変奏曲の根底に流れる、独特の深い哀しみにゾクゾクします。こういう音楽性ってやっぱり彼らスラヴ人の長い歴史に根ざしているのかもしれませんね。因に、「スラヴ人」というのは、中欧・東欧に住み、インド・ヨーロッパ語族スラヴ語派に属する言語を話す「諸民族集団」なのだそうで、ひとつの民族を指すのではなくて言語学的な分類にすぎない(ウィキペディアより)とのこと。しかし彼らの歴史を紐解いてみると かなり複雑で、その複雑さから生まれる心の葛藤のようなものが音楽に感じ取られるのではないかしら。

1842年はR. シューマンにとって『室内楽の年』と呼ばれるほど充実した一年で、あの有名なピアノ五重奏曲作品44の完成後間もなくピアノ四重奏曲作品47が作曲され、そして幻想小曲集作品88(ヴァイオリン・チェロ・ピアノの編成)や作品41の1番から3番までの弦楽四重奏曲などが生み出されました。シューマンは1829年にハ短調のピアノ四重奏曲を作曲しましたが、ピアノパートが完結しないまま出版されませんでした。その眠っていた草稿が20世紀に入ってから発見され、現在は補筆版が出ているとのこと。

いずれにせよ作品47のピアノ四重奏曲は“クララのために書かれた”(おそらく殆どの作品がそうだと思うけれど!笑)こともあり、第3楽章 Andante cantabile アンダンテ・カンタービレは『子どもの情景』作品15にある『トロイメライ』の<夢の世界>が浮かび、だから友人 Wei-En Hsu (ウェイ=エン・シュ。何度も このシリーズに出演しています!)に頼んで、アンコールとしてピアノ四重奏のために編曲してもらいました。とても素敵な仕上がりとなり大満足でした!Wei-En ありがとう!!

作家、篠田節子さんはアマチュア・チェリストとして室内楽をご友人たちと楽しんでおられ、クラシック音楽に関する知識も とても豊富でいらっしゃいます。最初の予定では私がインタヴュアーとして彼女に色々とお話を伺うはずでしたのに、いつの間にか立場が逆転!(苦笑)彼女からいただくかなり突っ込んだ質問に受け答えする運びとなりました。でも大変楽しい対話となり、お客様もお喜びだったご様子です。

おかげさまで今回も皆さまに喜んで頂けるコンサートとなりました。ありがとうございます!!

次回は10月27日(日)午後5時半からとなります。素敵な企画を考えています!是非お出掛け下さいませ。

またお会い出来ますことを心待ちにして!!

 

心のコンサートその27

Junko’s Heart to Heart Concert No. 27
大津 純子 心のコンサート その27
“室内楽を楽しもう!〜 ドヴォルザークとシューマン”
Joy of Chamber Music 〜 Dvořák & Schumann

チケット申込<心のコンサートその27>

“いのしし年”だからか、時間の流れまで猪突猛進(笑)しているかのよう・・・
年が開けてからの速さたるや恐ろしいほどで、新年のご挨拶もできないままに今日を
迎えてしまいました。ご無沙汰重ねております失礼をお許しくださいませ。

極端な寒さが世界各地を襲った 辛く、長い冬を何とか乗り越えることが出来ました。
いよいよ美しい春の季節を迎えますね。皆さまにはお変わりなくお過ごしでしょうか?

4月14日(日)午後5時半より代官山ヒルサイドプラザにて<心のコンサート・その27>のご案内です。今回はアメリカで共演することの多い友人ピアニスト、イリーナ・コフマンを迎え、ドヴォルザークとロベルト・シューマンのピアノ四重奏曲をお届けします。

ドヴォルザークはピアノ四重奏を2曲作曲していますが、スラブ的民族色の濃い第一番
作品23を取り上げます。スラブ系ロシア人であるイリーナの演奏に“乞うご期待!”シューマンのピアノ五重奏曲は大変有名ですが、ピアノ四重奏曲作品47は珠玉の名曲です。ドヴォルザークは若かりし頃、ブラームスにその才能を見出されて成功を収めることになりましたが、ブラームス自身がロベルト・シューマンに“嘗てない才能の持ち主”と世の中に紹介されたことで作曲家としての人生が開けたという、先導者と後輩の素晴らしい関係がバックにあります。そんな人生の広がりは素敵ですよね。
ヴィオリストはアンサンブルを得意とする森口恭子さん、そしてチェリストはこれまで二回出演していただいている渡部玄一さんです。お二人とも幅広く活躍されている優れた音楽家ですので、エネルギーいっぱいの熱い演奏をお届け出来ると思います。
また、トークコーナーのゲストには作家の篠田節子さんをお招きしています。篠田さんはアマチュア・チェリストとして室内楽に親しんでおられ、ご著書にも音楽にまつわる
ストーリーが幾多登場しています。皆さま、どうぞ楽しみにお出掛け下さいませ!!

 お申込み・お問合わせは 電話&Fax:03-3486-8740 まで、
また、インターネットお申込みは http://www.junko002.com/ にて
受付けております。どうぞお誘い合わせの上、是非ご出席下さいませ。
当日お会い出来ますことを心待ちにしています!! 
大津 純子 2019年2月吉日

Junko’s Heart to Heart Concert No. 27
大津 純子 心のコンサート その27〜 “室内楽を楽しもう!〜 ドヴォルザークとシューマン”
Joy of Chamber Music 〜 Dvořák & Schumann

☆日時:2019年4月14日(日)開演17:30(開場17:00)

☆場所:代官山ヒルサイドプラザ(ヒルサイドテラス内)

☆入場料:一般6,000円 高校生以下 半額(懇親会でのワイン、飲み物、オードブル付)

☆問合せ・お申し込み:大津純子室内楽実行委員会

Tel & Fax:03-3486-8740 Internet:http://junko002.com/

<プログラム>
☆アントニン・ドヴォルザーク:ピアノ四重奏曲 ニ長調 作品23
Antonin Dvořák (1841-1904): Quartet for Piano, Violin, Viola and Cello D major Op.23 (composed in 1875)
☆ロベルト・シューマン:ピアノ四重奏曲 変ホ長調 作品47
Robert Schumann (1810-56): Quartet for Piano, Violin, Viola and Cello E♭major Op.47 (Composed in 1842)

<演奏>
大津 純子 ヴァイオリン Junko Ohtsu, Violin
森口 恭子 ヴィオラ Kyoko Moriguchi, Viola
渡部 玄一 チェロ Gen-ichi Watanebe, Cello
イリーナ・コフマン ピアノ Irena Kofman, Piano

<お話> Talk corner guest:
篠田 節子 作家 Setsuko Shinoda, Author

お申込み・お問合せ: Tel&Fax 03-3486-8740
Internet http://www.junko002.com/

【Special Thanks】ヒノキ新薬株式会社 取締役社長 阿部 武彦 様
協賛:株式会社ICMG、Do Good Associates、合資会社 大和川酒造店
協力:株式会社 小田原 鈴廣、ワインズ新富屋、NPO えこお、株式会社 Dia-cubed
主催:大津純子室内楽実行委員会

今回のコンサートのチラシは、下記を御覧ください。
チラシ表面
チラシ裏面

心のコンサートその26ご来場ありがとうございました!

ちょうど一年前にあたる昨秋の「心のコンサート その24」は何と台風襲来という大ハプニングに見舞われてしまったのですが、それにも拘わらず いつもと変わらない人数のお客様がお見え下さり、感謝感激いたしました(ありがとうございます!)。その時のハラハラした記憶が蘇り、今回は一体どうなることやら・・・と事前から祈るような気持ちでした。本当に幸運なことに見事な秋晴れに恵まれ、このたびも 多勢のお客様がご来場下さいましたことに心より御礼申し上げます。

我が人生の節目(!)でもあるのか、昔のことをふっと懐かしく思い出すことが多くなったように感じます。そんなわけで今回は私の心状を反映する、ちょっとメランコリックなプログラムとなりました。ピアニストのコレットと出逢ったのは30代後半だったかなぁ。以来ピアノ・トリオを組んで活動したり、CD制作をしたり・・・と息の合う親しい友人です。

彼女との最初のCD(リサイタルの実録)『ヴァイオリンの詩』に収録したフォーレの<夢のあとに>は、イタリア・トスカーナ地方に古くから伝わる詩をフランスの詩人ビュッシーヌ(1830〜1899)がフランス語に翻訳。夢の中で出逢った美しい女性との幻想的な世界。その夢から目覚めたときの主人公の哀しい心の叫びが詠われています。また、ベルギーを代表する作曲家セザール・フランクの壮大なヴァイオリン・ソナタは同郷の後輩、ウジェーヌ・イザイへの結婚祝いとして作曲されました。イザイは一世を風靡した大ヴァイオリニストであり、ヘンリク・ヴィエニアフスキー、アンリ・ヴュータンらに師事し、ヴュータンの後任としてブリュッセル音楽院教授としてナタン・ミルシュタイン、ジョーゼフ・ギンゴールド、ウィリアム・プロムーズなどの優れた後進を育てています。作曲家として室内楽曲やヴァイオリンのための多くの作品を残していて(代表作はなんといっても<無伴奏ヴァイオリンのための6つのソナタ>)、今回の<遠い昔に> 作品10-1 (2曲のマズルカより第1番)は若い頃の作品。パリのカフェを彷彿とさせる、洒落っ気のある楽しいサロン風な曲です。
  

そして私の大好きなロシアの作曲家、ラフマニノフの若かりし頃の小品とヴァイオリンの魔人(笑)、パガニーニによる「ラ・カンパネラ」(鐘)。元々は彼のヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章として作曲されましたが、私の心酔するフリッツ・クライスラーによる華やかな編曲でお届けしました。

今回の《Reminiscence 〜 追憶》というテーマに合わせ、ゲストの月尾 嘉男先生が大変興味深いお話を用意してくださいました。歴史上の人物たちの『最後の言葉』・・・時間が限られていたので僅か6名にしかスポットを当てることが出来なかったのが残念なのですが、其々の生き方を映し出す言葉を残しているんですね。写真だけになりますが、どんなお話をしていたのか、ここに ご紹介させて頂きますね。
  

コンサート実現のためにいつも温かくお力添え下さる実行委員会の皆さま、コンサートの現場を支えるスタッフの方々、そしてご来場の皆々さまに深く御礼申し上げます。また、ヒノキ新薬株式会社取締役社長、阿部武彦様にはコレットの滞在に関して大きなお力添えを頂きましたことに深謝申し上げます。

次回2019年4月14日(日)その27ではドヴォルザークとシューマンのピアノ四重奏曲を、そしてご自身がアマチュア・チェリストとして室内楽を楽しんでいらっしゃる作家の篠田 節子さんをゲストにお迎えし、『室内楽を楽しもう!』というテーマでお届けします。是非皆さまお誘い合わせの上お出掛けくださいね!!お会い出来ますことを心より楽しみに・・・

大津 純子