| <このごろの日本って・・・>〜ちょっと辛口に〜 | ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 2005年12月16日 記 |
  |
再び、ニューヨークに舞い戻りました。出発朝の東京は気温0度の厳しい冷え込みだと耳にして飛び立ちましたが、JFK空港に飛行機がアプローチを始めた時、"只今、ニューヨークの気温はマイナス7度です"という機内アナウンスに乗客からどよめきが起こりました。いや〜ぁ、絶対に東京より寒いはず、と覚悟はしてたつもりでしたが、やっぱりこれだけ違うんだ、甘くない、甘くない・・・と再認識。でも、日本列島はその後も寒さが強まっている様子ですから、どうぞ皆様、ご自愛くださいませ。
相変わらずニューヨークは種々雑多混沌・・・様々な人々の集合体という趣があり、人間観察をしていると実に飽きないのです。近頃の日本も、若者のファッションやら思考回路、言動・・・といったあたりには特異性があって興味を誘われることが多々ありますが、でも、何かちょっとちがうんですね、そのてんでバラバラさが。日本の若者の場合は、これまでの世代と異なり、それぞれの「個性」を自由に主張するようになったと言えるでしょうが、なんとなくその「個性」の中にはある一定の「秩序」があるように感じられるのです。「異質」であるはずなのに何故か皆んな「同じ」に見えてくる・・・。それに比べると、やはりニューヨークに暮らす人々の"勝手気ままさ"は「筋金入り」とでも言いましょうか、それぞれの生き方・主義主張そのものが滲み出ている姿なのかもしれませんね。 今回の帰国、めずらしく2ヵ月半ぐらいの長い滞在だったにも拘らず、新しい企画<心のコンサート>シリーズを立ち上げたこともあって、結構目一杯追っかけられるようなスケジュールでした。シリーズ第一回目(12月2日)にご来場くださった皆様、本当にありがとうございました。そもそもこのシリーズは私の"長年の夢"から始まったのです。少人数のサロンの雰囲気を味わいながら音楽に浸り、素敵なゲストと語らい、更に、美味しいお食事とワインも其処にあったら最高! そしてそれら全てを聴きにいらして下さったお客様と一緒に楽しんでしまえたら・・・という"欲張りな"思いが募って、ついに実現にこぎ着けたのですが、そこに至るまでにはどれだけ多くの方々の支えが必要であったことか・・・感謝に感謝を重ねている次第です。しかし、初めての試みゆえ、至らないことも多かったと思います。反省点を第二回目(来年5月17日・水曜日)に反映させて頑張りますので又どうぞヨロシク応援してくださいませ! 初回ゲストには、このところ新聞、雑誌ほか、あらゆるマスコミに引っ張りだこで「時の人」として話題をさらっている、(株)ダイエーの林 文子会長をお招きしたのですが、彼女の清々(すがすが)しさ、って他にたとえようがないですね。数年前に初めてお会いし、あの小柄なお体の何処から湧き出してくるのだろうかと思えるエネルギーに圧倒されつつ惹きつけられて、すっかり仲良しになってしまいました。その頃は車の販売会社に関わっていらしたけれど、赤字続きで身動きが取れなくなっていた会社を2、3年で黒字経営に建て替えてこられた手腕を高く買われ、破綻したダイエーの再生を任される−という大仕事に現在取り掛かっておいでです。潔(いさぎよ)いともいえる清々しさの内側には、どんなに厳しい条件の中にあっても常に「人の心を思い遣る」ことを忘れずに、丁寧に生きてこられた姿が見えて参ります。 このところの日本は「耐震強度偽装」やら、「経営詐欺」、「横領」、「談合」、そして卑劣で許しがたい、小さな子供たちを犠牲にした「殺人」などなど、ロクでもないニュースばかりが目立ち、TVをつけると、ずらっと並んだ偉いさんたちが揃って"申し訳ございませんでした"−と、頭を下げる場面が必ず登場するので、やれ又か・・・と嫌気がさしてきます。社会の歯車がズレて、狂っているとしか思えないのです。かつては世界一「安全」で「信用度」が高く、「潔い」国民性を誇っていたはずの国なのですから、こうも続く不祥事に"このごろの日本っておかしいんじゃない?"と思われる方々も多いはず。 悲しいのは、不正に関わった人物たちには一切、「人を思い遣る」、「相手の立場に立って」なんて心は存在していない、という空恐ろしい現実です。そこからは社会や人々にとっての"本物の恵み"など生まれてくるわけがありませんよね。勿論、いつの時代にだって不正が存在しないことなど無かったけれど、どこかにもう少しは歯止めとなる何か=多分、「道徳心」や「羞恥心」といったもの=が社会全体に機能していたのではないかな、と思うのです。何年か前に『タイム・マガジン』が、"現代の犯罪者に特出しているのは「羞恥心」の極端な欠如・・・"という記事を載せていましたが、"何やったって恥ずかしくなんかない"−という心は、使い方次第ではチャレンジ精神に繋がるけれど、下手して道を違えるとトンデモナイ事態を招くことになるのですね。
ちょうど3年前になるかしら・・・ボストンにあるハーヴァード・ビジネス・スクール(大学院)の授業を僅か2日間だけだったけれど受講できる、という幸運に恵まれました。正直のところ、音楽をやっている私には「ビジネス」ほど縁遠いものは無い−という観念があったのですが、そんなものは見事に打ち破られ、学んだこと全てが<目からウロコ>・・・私の世界観を大きく変える出来事となったのです。
≪ビジネスは人との繋がりがあって初めて可能となる。"誠実"で"心のこもる"人間の在り方は、ビジネスの世界で一番大切な要素。心に触れる"感動"が人を動かしていくのだ。人間が大切にすべき「誠実さ」、「感性」、「バランス能力」を なおざりにして、結果さえ(数字さえ)良ければ(つじつまが合えば)何をしてもいい(経過はどうでもよい)・・・と、結果を"数字"のみで短期に出そうとしたら必ず行き詰る。これまでのアメリカで起きた失敗の数々がそれを如実に物語っている(ちょうどその頃は、エンロン/アンダーソン事件やワールドコムの問題が起きていた時期でしたが、今の日本にそのまま当てはまりますね。何をやるにしても、全ては「人間」あってのこと。人を大切に出来なかったら、そのツケは必ず廻ってくるんだ)・・・≫ と、世界第一級の経済学者たちが熱っぽく語る講義にビックリ。そして、<ビジネスを動かすのは人々の感動の心>−その言葉を耳にして、こんなに嬉しかったことはありません。芸術(音楽)の世界と相通じていることを知り、もう「ビジネスの世界」だって怖くないぞ!−なんて感激してしまいました。 何はともあれ、世界のトップ・クラスの教授陣の"教えること"に傾けるものすごいエネルギー・レベルに感銘を受け(だって、日本は偉い先生ほど"出し惜しみ"が目に付くような・・・)、更にアメリカという国の奥行き・先見性・柔軟性を目の当たりにできたのは本当に幸せでした。そして、「文化」「慣習」「人種」が異なっても人間の本質や感性には変わりがない、ということを再認識できたことは喜びでした。
書き出したらキリがないので、この体験記は又の機会に! なんといっても一度きりの人生。丁寧に、大切に生きましょうね、皆さん。
|