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Impromptu 純子の思いつくままに
  <アメリカ便り その3> ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

2005年3月10日 記 

  2月25日の代官山コンサートには多くの皆様にいらして頂けて、誠に嬉しく存じました。有難うございます。

回を重ねる度にお客様が増え、また、お馴染みのお顔にもお目に掛かれますので、私たち出演者にとっても本当に楽しみが増して参ります。次回は7月8日(金)に決まりましたので、是非またお出かけ下さいね。更に工夫を凝らした面白いプログラムを用意して、和田誠さん・佐藤允彦さんと共に、お待ちしていまぁ〜す!

さて、約3週間の日本滞在もあっという間に過ぎてしまいました。今さっきニューヨーク・JFK空港に到着したのですが、気温はマイナス2度! 東京がちょっとばかり暖かくなりかけていましたので、あれ〜ぇ・・・油断していました。雪が大分残っているところを見ると、こちらはマダマダ春遠し、のようです。JFKで飛行機を乗り継いで、これから南フロリダに向かいます。フロリダの気温は20度近くありそうですから、温度差に身体がついていくかな、というのが少し心配です。

ところで代官山コンサートでは、私の"英語ド恥"をご披露する羽目になりましたから、それならついでに他の笑い話のような失敗談も書いちゃおうか・・・なんて思っています。えっ、あぁそうか、代官山にいらして頂けなかった方々もおられるんですよね。やっぱり、そのことに触れなくちゃいけないかなぁ・・・時の流れとともに記憶も薄れていたのですけれど、先日の<ジャズってなぁに?>コンサートでRagtime(ジャズの前身と言われる音楽)も取り上げたため、イヤでも思い出すことになってしまいました。

英語って本当に発音が難しいんです。ずうっと昔の話になってしまいますが、『セサミ・ストリート』を原語のままNHK教育テレビで放映することを決断されたディレクターの方を存じ上げていました。日本語吹き替えにせずに、そのまま英語で子供たちに通じるのか−という議論が社内であったそうですが、敢えて原語放映を押し通された。なぜかというと、耳の中の<音を聴きわける器官>は6歳ごろまでに形成されるのだとか。ですから、それまでに「本物の音」を耳にしていれば"違い"を感知し、再現することが可能となるのだそうです。そう言われてみれば、海外で幼少より生活したことのある人たちの外国語の発音は現地の人々と変わらず、大人になってから一生懸命に学んでも、発音ばかりは絶対に敵いませんよね。おそらく、まだ身体が完成していない、柔らかいうちに音を聴きわけ、再現することを繰り返していると、口に中の構造も異なってくるのではないか・・・と。ヴァイオリンとかピアノを小さいころから習わせる、というのも同じ理論でしょう。私のジュリアード時代の先生が"子供たちはみんな天才よ。まるで乾いたスポンジのように、与えられたことをサッと吸収してしまう・・・"と、よく言っておられましたけれど、意味なんか分からなくても、そのまま見事にマネしてしまいますよね、小さな子って。え〜、何を言いたいのか・・・と申しますと、私の英語は大人になってから習得したものですから、LとR、AとかEとかU、ほかモロモロの発音にひどく苦労するわけなのです。

コンサートを控えてのEcco Trioのリハーサルを前にして、アンコールには何を演奏しようか・・・とチェロのエヴリンと相談。スコット・ジョプリンの『Ragtime Dance』はどうだろう。"じゃあ、純子、ピアノのコレットに楽譜を持ってくるように伝えてね"−いうことで、コレットに電話。あいにく彼女は留守だったのでルームメイトに伝言を残したのです。さて、リハーサルと相成りましたが、突如、コレットが"いったい誰なの?私に変なメッセージを残したの!"と、わめいたのですね。"おじさんのために敷物を持ってくるように・・・"いう伝言があったと言うのです。一瞬、???だったのですが、アッ!それってもしかすると・・・ワタシ・・・。"Please bring the Ragtime for the encore."と言ったつもりが、"Please bring the Rug for the uncle."となっていた・・・米語ではRag の "a" は口を横に開いて aと e の間のような極端な音を発しなくてはならない。軽く a と発音すると Rug に聞こえちゃうし、e, u, r, l なんかが不明瞭だと、encore(アンコール)は uncle(アンクル)となっちゃう・・・というわけなのです。あんまりアホらしい失敗なので、彼らに説明する気すらおきませんでしたね。いや〜、マイッタ。

そうそう、マイッタ・・・と言えば、"コピーする"というのを、アメリカ人は"ゼロックスする"(会社名)って言うのでビックリしました。これもXerox の e を強烈に"イー"と口横開きで発音しなくちゃならず、私が軽く"ゼロックス"なんて言うものだから音楽仲間たちはケラケラ笑うのですが、近頃はゼロックス社より、キャノンとかミタなんていう日本製の機器が多くなったから、社名をそのまま動詞使用することもなくなりましたね。でも、ミタがアメリカ市場に出回りだしたころは"MITA"− マイタ、マイッタ・・・なんてTVコマーシャルでやってましたよ〜。

英語の苦労はそれぞれお持ちの方も多いようで、これは佐藤允彦さんからの受け売りですが、彼のご友人がロサンゼルスで運転をしていた。隣の車が半ドア状態だったので、なんとか伝えなくちゃ、と思ったが半ドアのことを英語でなんと言ったらいいのか分からない。考えた挙句に"You got a half-door!"と叫んだら、相手が怪訝な顔をして"No, I got a full-door!"と答えたとか・・・。これも落語的ですよね。 え〜、ではお後がよろしいようで・・・。


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