早くも<心のコンサート その34>開催より1ヶ月が過ぎ去り、時の流れの速さに驚くばかりです。しかもまだ5月だというのに真夏日の到来、大荒れの天候・・・と地球環境はきびしさを増すばかりですね。皆様にはどうぞご自愛の上お過ごしくださいますように!!
さて、ご多忙にも拘らず4月24日のコンサートにお運びいただき、誠にありがとうございました。懐かしいお顔を拝することが出来て本当に幸せでしたし、新しいお客様との出会いも嬉しく、素敵な時間をご一緒できましたことに感謝の思いでいます。
昨秋10月の<その33>コンサートでは母の突然の怪我と入院に翻弄され、色々と皆様にご心配をお掛けいたしました。お陰様で母はすっかり回復し、この度の演奏会への出席が叶いました。皆さまからいただきました多くのお気遣い、そして、復帰祝いの温かなお言葉の数々は母の励みになっています。心より御礼申し上げます。
それにしても、まさかこんな世界情勢が現実に起きるとは想像もしていませんでした。
現・アメリカ政府の仕掛ける様々な揺さぶりで、アメリカ国内のみならず世界中が政治・経済ともに混乱に巻き込まれています。ウクライナ戦争もパレスティナ(ガザ)問題も解決に向かうどころか先の全く見えない悲劇の連続です。人間の歴史は争いの歴史・・・相手を誹謗中傷し、否定するのでなく、互いへの思い遣りや許しの心、違いを受け入れて相手を尊重することが出来たら、きっと希望ある社会が生まれていくに違いない。そんな前向きな思考は出来ないものなのかなぁ・・・と願う気持ちは膨らむ一方です。
私が長い年月過ごして来たアメリカという国が今や、倫理観をまったく持ち合わせない一握りの人間たちの手で歪められ、壊されていくことに怒りや、嘆きを訴え、戦おうと試みる友人たちは周りに沢山います。でも、自分たちの都合にかなっていれば何も感じない人々も大勢いるのも確か。嘗ては政治的なバランスを失いかけると必ずチェック・アンド・バランス(抑制均衡)が自然に発生してきたことがアメリカ人の誇りだったのに、いつの間にかその歯止めの効かない社会となってしまったようです。
今回のプログラムでは前回に引き続き、19世紀の芸術界のマドンナと讃嘆され、当時の偉大な芸術家や文化人たちを虜にしていたポリーヌ・ガルシア・ヴィアルド(1821〜1910)の抜きん出た音楽性や知性、品格あふれる人間性の一部を紹介させて頂きました。彼女の類まれなる歌唱力と演技力は、生涯互いに影響を与え合った文学者のジョルジュ・サンド、そしてロシア人作家イヴァン・ツルゲーネフ、また、クララ・シューマン、リスト、ショパン、フォーレ、マスネ、ブラームス、グノー、ワーグナー、ベルリオーズ、サン=サーンスなどなど、最高峰の芸術家たちに霊感を与え、創作作品を彼女に献呈しています。今回アンコールに演奏したグノー/ J.S.バッハのアヴェ・マリアの心に染み入るような音楽は、今現在苦しみ、辛い思いを抱えて生きている地球上の方々に捧げたいと思い選曲しました。
今回のコンサートには、そのポリーヌ・G・ヴィアルドの研究家で国立音楽大学名誉教授の小林緑先生が ご主人様の音楽評論家・谷戸基岩先生とご一緒にご出席くださいました。緑先生の素晴らしいご著書『ポリーヌに魅せられて』(2023年2月出版:梨の木舎)の中から貴重な逸話を伺う機会をいただくことが出来たことは本当に幸運でした。
音楽って私たちに勇気や優しさを与えてくれると改めて感じているこのごろです。
一度ゲスト出演していただいた生命誌の中村桂子先生の、地球上に存在するあるゆる “いのち” を優しく愛おしむようなご研究に度々思いを馳せるこの頃です。人間も昆虫も植物も動物も、果てはバクテリすらも(まぁ!)すべては38億年前に誕生したひとつの細胞から生まれ、進化してきたこと。そしてそれぞれの“生きもの”の細胞には必ずそのDNAが入っており、働き方は基本的に同じ。生きとし生けるものは皆仲間なのだから違いよりも まずは “いのち” の素晴らしさを感じ、互いを大切にしましょう・・・とお話しくださるのです。素敵ですね。
中村 桂子先生は いつも私のコンサートにご出席くださり、お優しいお言葉をくださいます。
今回、とても励みになるご感想をいただいたのでご紹介させてくださいませ。もっと頑張って自分磨きをしていかなきゃ・・・と思いを新たにしています:
『いつも、素晴しいプログラムを組まれますね。優しい中に鋼のような筋が通っている純子さんならではです。大騒ぎしたり、力で対抗したりするのでなく、静かに、でも何かに負けることなく行動していくことが大事ですね。美しい音楽でそれのお出来になる純子さんの次の活動が楽しみです。』
いつも応援をありがとうございます。
次回秋10月19日(日曜日)の<心のコンサート その35>でお目にかかりましょう。
久しぶりにアメリカの友人ピアニスト、イリーナ・コフマンと、洗足学園大学准教授でチェリストの羽川 真介氏を迎えて、ピアノトリオほか素敵なプログラムを考えています。是非に楽しみにしていてくださいませ!
お会いできるのを楽しみにしています。
大津 純子