ちょうど一年前にあたる昨秋の「心のコンサート その24」は何と台風襲来という大ハプニングに見舞われてしまったのですが、それにも拘わらず いつもと変わらない人数のお客様がお見え下さり、感謝感激いたしました(ありがとうございます!)。その時のハラハラした記憶が蘇り、今回は一体どうなることやら・・・と事前から祈るような気持ちでした。本当に幸運なことに見事な秋晴れに恵まれ、このたびも 多勢のお客様がご来場下さいましたことに心より御礼申し上げます。
我が人生の節目(!)でもあるのか、昔のことをふっと懐かしく思い出すことが多くなったように感じます。そんなわけで今回は私の心状を反映する、ちょっとメランコリックなプログラムとなりました。ピアニストのコレットと出逢ったのは30代後半だったかなぁ。以来ピアノ・トリオを組んで活動したり、CD制作をしたり・・・と息の合う親しい友人です。
彼女との最初のCD(リサイタルの実録)『ヴァイオリンの詩』に収録したフォーレの<夢のあとに>は、イタリア・トスカーナ地方に古くから伝わる詩をフランスの詩人ビュッシーヌ(1830〜1899)がフランス語に翻訳。夢の中で出逢った美しい女性との幻想的な世界。その夢から目覚めたときの主人公の哀しい心の叫びが詠われています。また、ベルギーを代表する作曲家セザール・フランクの壮大なヴァイオリン・ソナタは同郷の後輩、ウジェーヌ・イザイへの結婚祝いとして作曲されました。イザイは一世を風靡した大ヴァイオリニストであり、ヘンリク・ヴィエニアフスキー、アンリ・ヴュータンらに師事し、ヴュータンの後任としてブリュッセル音楽院教授としてナタン・ミルシュタイン、ジョーゼフ・ギンゴールド、ウィリアム・プロムーズなどの優れた後進を育てています。作曲家として室内楽曲やヴァイオリンのための多くの作品を残していて(代表作はなんといっても<無伴奏ヴァイオリンのための6つのソナタ>)、今回の<遠い昔に> 作品10-1 (2曲のマズルカより第1番)は若い頃の作品。パリのカフェを彷彿とさせる、洒落っ気のある楽しいサロン風な曲です。
そして私の大好きなロシアの作曲家、ラフマニノフの若かりし頃の小品とヴァイオリンの魔人(笑)、パガニーニによる「ラ・カンパネラ」(鐘)。元々は彼のヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章として作曲されましたが、私の心酔するフリッツ・クライスラーによる華やかな編曲でお届けしました。
今回の《Reminiscence 〜 追憶》というテーマに合わせ、ゲストの月尾 嘉男先生が大変興味深いお話を用意してくださいました。歴史上の人物たちの『最後の言葉』・・・時間が限られていたので僅か6名にしかスポットを当てることが出来なかったのが残念なのですが、其々の生き方を映し出す言葉を残しているんですね。写真だけになりますが、どんなお話をしていたのか、ここに ご紹介させて頂きますね。
コンサート実現のためにいつも温かくお力添え下さる実行委員会の皆さま、コンサートの現場を支えるスタッフの方々、そしてご来場の皆々さまに深く御礼申し上げます。また、ヒノキ新薬株式会社取締役社長、阿部武彦様にはコレットの滞在に関して大きなお力添えを頂きましたことに深謝申し上げます。
次回2019年4月14日(日)その27ではドヴォルザークとシューマンのピアノ四重奏曲を、そしてご自身がアマチュア・チェリストとして室内楽を楽しんでいらっしゃる作家の篠田 節子さんをゲストにお迎えし、『室内楽を楽しもう!』というテーマでお届けします。是非皆さまお誘い合わせの上お出掛けくださいね!!お会い出来ますことを心より楽しみに・・・
大津 純子