なんと落ち着かないお天気なのでしょう!
気温の変化が激しいので体調を崩される方々も多いのでは・・・と気懸りです。
どうぞお大事になさってくださいませ。
お忙しい中、4月21日の<心のコンサート・その32>にお運びくださりありがとうございました。お陰様で成功裡に終えることができました。感謝でいっぱいです。
2024年の企画は “The Theme is Paris!” 。今回はPart 1 そして今秋10月20日(日曜日)にはPart 2 をお届けします。
パリというと観光旅行でお馴染みのエッフェルタワーや凱旋門、美しい石造りの建物など、実に落ち着いた魅力ある現在の姿に思いを馳せます。しかし現在の街並みが出来上がる背景には長い長い歴史が横たわっています。権力を勝ち取るための血生臭い戦いを繰り返し1871年〜1872年の普仏戦争(フランス帝国とプロイセン王国間で勃発)が終わったことでフランス社会に楽観的な空気が生まれました。経済の発展、植民地の拡大に伴い、テクノロジーや科学に裏打ちされた革新的な時代ベル・エポック(Belle Époque=美しい時代/黄金の時代=1871年から第一次世界大戦の始まる1914年まで)が誕生したのです。
アール・ヌーボー(Art Nouveau=新しい芸術)と呼ばれる文化・芸術形式がパリを中心に花開き、それまで考えられなかった “波のようなうねり”や“蔦が絡み”といった自然界の形態を模したデザインを建築、ベアズリーのイラスト作品、またグラフィック・デザインの世界やエミール・ガレのガラス工芸品などに見ることができます。当然ながら その影響は音楽の世界にも及び、古典やロマン派の「形式」重視の作曲法から踏み出して、“感性”を大切にした印象派など、新しい響きを求める音楽創作が始まっていきます。因みにエッフェルタワー建設が1888年に開始されたことご存知でしたか?パリ最初のメトロ(地下鉄)は1900年に作られたとか!
アメリカで一緒に活動している気心の知れたピアニスト、イリーナ・コフマンさんが遥々フロリダ州から飛行機を乗り継いで参加。また、これまで二度共演をお願いしているチェリスト・渡部 玄一さんをお迎えしたことで、今までとちょっと趣の異なるプログラムをお届けできたと思います。また、どうしても演奏の合間のおしゃべり(といっても演奏曲に関するお話なのですけれど!)が長くなってしまうので、聴いていただく曲目の解説の補助としてパワーポイントを作成し、目と耳の両方から演奏を楽しんでいただく企画に挑戦しました。それぞれの作曲家たちの肖像画、そして演奏曲からイメージされる絵画や写真を目にすることで、作曲家たちの人となりが身近に感じられ、作品への想像力が膨らむ・・・と好評をいただいています。
私はアメリカ人女性2人と共に立ち上げたECCO TRIOというグループで長年に亘り活動をしていました。ピアノトリオのために作曲されているレパートリーは幅広く、ピアノとヴァイオリンのアンサンブルの上にチェロによる低音部が加味されることで、小規模ながらオーケストラのような重厚な響きが魅力的です。また、それぞれの楽器(奏者)の個性も存分に発揮できますし、感性を研ぎ澄ませながら取り組んでいく”音楽作り”はとても楽しいものです。
確かに“究極の音楽の響き”と称賛される弦楽四重奏では、同族楽器による音色の溶け込みが見事で、そのハーモニーの美しさに圧倒されますよね。ピアノトリオの場合は<平均律>のピアノと、ヴァイオリンとチェロという<純正律/純正調>(平均律と純正律では音程の作り方が根本的に異なるのです。この話をし出すと長くなるので またの機会に!)というまったく異なる楽器同士の“音のすり合わせ”は これまた楽し(楽しいことばかりみたい・・・笑)。醸し出される色彩の豊かさに耳を傾けて頂けると嬉しいです。
次回のPart 2・ 10月20日(日曜)のプログラムでは、当時芸術パトロン宅で常設的に開かれていた<サロン>の一つを覗いてみたいと思います。音楽家のみならず あらゆる芸術家たちにとって、影響力あるパトロンのサロンに招かれることは社会的な“成功”に繋がる必須の条件だったのです。
長くなりましたが今回の御礼と次回企画のご案内でした。
生の演奏を楽しんでいただくための様々な挑戦を今後とも続けていきたいと思っています。ぜひ又代官山ヒルサイドプラザでお目にかかれますことを楽しみに!!
大津 純子