月別アーカイブ: 2026年5月
心のコンサート その36 *ご来場ありがとうございました*
心のコンサート・その36:ご来場ありがとうございました

連休が終わりハッと気付いたら何と5月も半ば!!まるで初夏のような気候になったかと思うと突然冷え込み・・・と相変わらず落ち着かない気候ですが皆様にはお変わりありませんか?
4月19日(日曜日)に開催いたしました《音楽逍遥:夕暮れのセレナーデ 〜 ヴァイオリンと心の歌》から早くも1ヶ月が過ぎ去ろうとしています。お忙しい中ご来場くださいましたのに御礼がすっかり遅くなり申し訳ございません。心のコンサートシリーズでは今回初めての歌手の方をゲストにお迎えしたプログラムでしたが お楽しみいただけましたでしょうか?

サン=サーンスのソプラノ、ピアノとヴァイオリンのための作品『夕暮れのヴァイオリン』に出会った時、その音楽の狂おしいほどの情熱と深い感情に衝撃をおぼえるほど感動し、どうしてもこの曲をご披露したいという強い思いに駆られました。素敵にこの曲を歌って下さるソプラノ歌手のお友達はいないかしら・・・と思いをめぐらせていた時、暫くご無沙汰していた吉川具仁子さんのことを思い出したのです。吉川さんはイタリアに長く居住され、その柔らかく温かい歌声でヨーロッパを拠点に活動されておられました。私が知り合ったのは10年以上も前のことですが、イタリアの明るい空気そのままのご人格で素敵な方。一度ご一緒に演奏したいですね、とお話していたけれど中々その夢を実現することが叶いませんでした。
演奏会終了後に少しの時間でしたが残ってご挨拶することのできたお客さまたちから、『夕暮れのヴァイオリン』に感動されたというご感想を伺うことができました。あまり演奏される機会のない この曲をお披露目することが出来て本当によかった!!

今回は神童モーツァルトのヴァイオリン・ソナタに始まり、幼い頃から作曲の才能を示し、モーツァルトと同じ名前と相まって”モーツァルトの再来”と呼ばれる程の神童ぶりであったエーリッヒ・ヴォルフガング・コルンゴルトの作品もご紹介しました。
彼が11歳の時に作曲した『雪だるま』は幻想的な雰囲気を漂わせる愛らしい曲ですが、お聴きになられたお客様が「あっ、雪が降ってきた・・・」と感想を述べてくださったのは とても嬉しいことでした。
バラエテイに富んだプログラミングを讃えてくださる方も多く、これからの企画の励みとなります。いつもご支援いただき感謝の念にたえません。

次回秋の『心のコンサート・その37』は10月18日(日曜日)午後3時開演。いつもの代官山ヒルサイドプラザとなります。
ピアニストはお馴染みとなりましたイリーナ・コフマン、そしてチェリストは室野 良史さんです。このところ私が夢中になっているサン=サーンスのピアノ・トリオ 第二番をお届けします。どうぞ楽しみに ご来場くださいませ!
大津 純子
心のコンサートその36挨拶文
Why Did We NEVER Learn …? (どうして我々は何ひとつ学ばなかったんだ?)
桜の花びらが舞い、さまざまな彩りの花々が咲き誇る美しい季節となりましたね。ただちょっと心配なのは季節の変遷が速すぎること。もっとたっぷりと春を楽しみたい思いがします。
もうかなり前のことになるのですが、選りすぐられたアメリカ人会員制クラブで、当時のバージニア州選出連邦上院議員、John W. Warner ジョン・ウィリアム・ウォーナー氏(1927-2021)による講演会の前座(笑)演奏を頼まれたことがあります。彼は弁護士でもあり、海軍・海兵隊軍人で、ニクソン政権で海軍長官を勤めたあと政治家となりました。5期30年間に亘り上院共和党の重鎮として軍事委員長などの重責を務めた大変な立派な人格者でしたが、私の彼についての知識は あの有名過ぎる往年の女優、エリザベス・テーラーの6番目の夫だった(6年後に離婚)ことぐらいだったかもしれないのですけれど(苦笑)。ただ思い返してみると、その頃は思想的に左右に揺れても、どちらかに偏り過ぎることなく絶妙なバランスでアメリカ政治が上手く機能していた良い時代だったと思います。異なる意見を持っていても叩き合うのではなく、互いの違いに耳を傾け尊重し合いながら解決策を求めていくという“包容力”が社会に存在していました。
当時アメリカは中東戦争(もしかすると2003年のイラク戦争?)に巻き込まれており、にっちもさっちも行かない状況だったと記憶します。だからウォーナー上院議員の講演内容にかなり興味を持っていました。彼は共和党と民主党両党からなる超党派軍事委員たちを率いて戦況視察に赴いたとのこと。帰路、専用機内でスペクタル歴史劇映画『アラビアのロレンス』を鑑賞したそうです(オスカー作品賞・監督賞など7部門に輝いた1962年製作のイギリス映画で、まだ無名だったピーター・オトゥール主演、オマル・シャリフ、アンソニー・クィーンなど大物俳優が共演していた!!)。そして鑑賞後思わず吐いた言葉が上記の “Why did we never learn…?”
アラブ人の複雑な文化、宗教、社会性、人間性は西欧人には到底理解し切れるものではないから決して頭を突っ込んではならない・・・という教訓が そこに読み取れるのに、と。しかし今再び何一つ学んでいない人たちが同じ過ちを繰り返し、世界中がとんでもない騒動に巻き込まれることになってしまった・・・なんと情けないことでしょう。
音楽って私たちに勇気や優しさを与えてくれると感じます。それは其々の作曲家たちの喜び、苦悩や貴重な体験から生まれた人間性溢れる愛おしいものだから・・・。モーツアルトの再来と称えられたオーストリア出身の作曲家コルンゴルトの 『雪だるま』 は僅か16歳の時の愛らしい作品。また、1951年に初演された喜歌劇 『沈黙のセレナーデ』 からの あまりに美しいアリア “あなた なしで”は今現在苦しみ、辛い思いを抱えて生きている地球上の方々に捧げたいと思い選曲しました。
お馴染みのピアニスト鷲宮美幸さん、ゲストのソプラノ歌手吉川具仁子さんお二人とご一緒に魅力いっぱいのセレナーデの数々をお届けできる幸運に、そして お忙しい中ご来場くださいました皆さまへ、また、いつもスタッフとしてコンサートを支えてくれる近しい友人たちや私の家族へ感謝の念を込めて。
大津 純子