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Impromptu 純子の思いつくままに
  〜近況報告・・・〜 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

2009年7月16日 記

  又もや ご無沙汰申し上げて・・・と、前回エッセィの日付を見たら、エ〜ッ、2月28日!? ウソだよ〜!! エ〜ン・・・我ながらショックでした。何たることじゃ!

いわゆる「ブログ」のように、毎日、といかないまでも日々のダイアリーとしてチョコチョコと出来事を綴っていれば良いのだけれど、中々執筆に取り組まないものだから(スミマセン!)大変な長文になり、皆様にご迷惑をお掛けするわけ。これじゃImpromptu存続の価値も無くなってしまう・・・と、深く反省でアリマス。
色々と書きたいことが溜まっているので、今回は<その1><その2>に分けての執筆となりました。お時間にゆとりのある方は両方をご覧くださいますよう・・・ペコリ(平身低頭)。

<その1>〜 ニューヨークの危機?!
<その2>〜慌しき"飛鳥U"乗船記

 

昨日7月15日のニューヨーク・タイムズ紙にショッキングな記事が載っていました。
"WQXR"クラシック音楽ステーション(FM96.3)が45million Dollarsで身売りされることになった、というもの。これは1936年に創設された、アメリカで最も古い"クラシック音楽のみを放送"する民間FM局で、1944年来、NYタイムズ紙を発行している the Times Companyが所有。インターネット普及の煽りを受けて、新聞などの印刷メデイア業界は広告収入激減による存続の危機に直面しているのは事実ですが、ついにニューヨーク・タイムズまでが・・・と、その厳しい現実を直視せざるを得ません。
買い手はWNYC(FM93.9)=米国一の規模であるパブリック・ラジオ放送局=とUnivision (スペイン語放送局)の2者。しかし6,000ワットから600ワットへのシグナル降格になるため、受信可能地域を相当狭めてしまうだろうと言われています。WQXRの話によると、現時点で民間クラシック音楽放送局としては最大の受信者数=なんと一週間で100万人近く=を誇っているのだとか。

ニューヨーク市と その近郊ではWQXR と WNYC二局のお陰で いつラジオをつけても一日中クラシック音楽を聴くことができて、これは世界中に誇るべきニューヨークの"文化度の高さ"の象徴、と鼻高々だったのです。特にWQXRはクラシック音楽専門局でしたから、メトロポリタン歌劇場からの毎土曜午後の生放送をはじめ、若手演奏家を招いての"Listening Room"(ホストは音楽評論家・Robert Sherman氏)といった独自の企画(近年は番組の名前を変えて存続)もあり、メット歌劇場は勿論のこと、ニューヨーク・フィル、ジュリアード音楽院などにも激震が伝わっているそうです。私もジュリアードの学生時代に"Listening Room"に出演して演奏しましたが、こういった場は音楽家にとって自分の実力を磨き、世の中の人々に活動の様子を知ってもらうために大変貴重です。クラシック音楽界も今後ますます苦しい状況に追い込まれていくようです。

因みに「パブリック放送」−というものに馴染みの少ない方々もいらっしゃると思うのでちょっとご説明を・・・。「パブリック」(public)をそのまま「公の」と訳し、「国営」または日本のNHKのようなものか、と勘違いされることがタマサカあるのですが、パブリック放送というのは一般視聴者からの寄付金、そして財団からの基金などで運営が成り立っているのです。民間放送のように一定のスポンサーからの収入に依存すると、スポンサーの思惑によって放送内容などにプレッシャーが掛かり、納得のいく番組が作れなくなる恐れがある。独立した質の高い番組放送維持のため、毎年ある時期になるとパブリック放送局はラジオ、TV共に寄付金募集番組を盛んに流し、一般視聴者からの寄付を募っています。

広いアメリカ国内にはそれぞれの土地にパブリック放送局が存在し、独自の番組を制作しています。よく分からないのだけれど、制作された「番組リスト」のようなものが存在するらしく、内容に興味を持った各地の放送局が思い思いに番組を購入?し放送するようで、私の場合、ミシガン州の放送局制作の "The Artistry of Junko Ohtsu" というリサイタル・プログラムが米国各地のTVパブリック放送網を通じて30〜40都市で放映されたよ、と番組制作したディレクターが教えてくれました。

パブリック放送の最たる支援者は視聴者そのものなのです。WNYCに買われたWQXR− が視聴者の手で生かされていくことを切に願ってやみません。

<その2>〜慌しき"飛鳥U"乗船記


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