| <カントリー・ライフとアメリカ近況報告> | ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 2008年7月26日記 |
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毎回お詫びから始めなくてはならなくて、ごめんなさ〜い。
さて、昨秋から取り掛かっていたロングアイランドの家の改築工事がひと段落つき、(写真はこちら)日本から戻った6月上旬に移り住んだのはいいけれど、いやいや、細々とした工事は未だ終了しておらず、更に、マンハッタンから持ち込んだ引越し荷物や元々あった家具など、物・もの・モノの山との格闘が未だに続いていて、毎日が飛ぶように過ぎていきます。
改築工事開始前には家中のモノを全部地下室(此処は手を入れなかった)に移し、残りの大きな家具(ベッドやソファなど)は庭にテントを張ってもらい、収納。地下室は、何処に何があるのか分かるようにきちんと仕分けし、陶器やガラス製品その他、壊れやすい物には
しかし、いざ戻って地下室に足を踏み入れた途端、あまりの散らかりように声も出ない!まるで台風か竜巻の痕跡を目の当たりにした、とでもいいましょうか。
仕分けはメチャメチャ、箱はひっくり返るわ、割れたガラスが散在するわ、更にチリ、埃、おが屑までも相俟って、一体なんだ、この有様は!これほどひどい事態になるのなら、貸し倉庫に預けて行けばよかった、と後悔しても時すでに遅し。地下には電源コントロール・パネル、排水パイプ、その他モロモロが配されているので、工事人たちが入れ替わり立ち代り出入りしていたようなのです。入居後の最初の仕事が地下室の片付けと掃除、モノ探し。その重労働たるや、それは大変で・・・というのが此度の長期休刊?!に関する言い訳でして・・・テヘヘ。
それにしても、どうして
しかし、彼らは実に一生懸命に働くのです。ちょっとイケメンで、マッチョな感じのミゲェルMiguelはコスタリカン。奥さんの ロージー Rosie には時折、地下室やガレージの整理・掃除などを手伝ってもらってるのだけれど、汗だくになるのを厭わずに黙々と仕事をしてくれるので、すごく助かっているのです。以前、メイドさんを頼んだことがあって、(ちゃんと英語の通じる)黒人のアメリカ女性が来てくれたのはいいけれど、"ガラス戸を拭いて欲しい"と頼めば、"私、腰が悪いの・・・"。エッ!?"掃除機を掛ける時は家具を動かして・・・"と言っても、"Oh, my back!"(あ〜、腰が!)なんて調子でして、結局は、自分で家具を動かして廻る羽目に・・・アチャ! まぁ、彼女の得意技もあることはありましたよ。「アイロンかけ」に関しては実に上手だったけれど、こんなじゃ、手伝いに来てもらってもあんまり意味無いのよねぇ− というわけで、Rosie のように身を入れて働いてくれる人に感動してしまうのであります。
コスタリカは自然に恵まれ、気候もいいし、人々は勤勉で正直で性格も良くて、とっても住み易い国だ、と聞きます。でもそれはきっと"外国人にとって"という但し書きがつくものなのかもしれませんね。現地に住む人たちにとっては、"アメリカで稼ぐ"ということは自分たちの生活レベル向上への一歩なのかもしれない。アメリカの労働事情がどの程度良いものなのか悪いものか私には分からないけれど、恐らく「組合」に属さない、こういった移民労働者たちは、時間外であっても、休日であっても、少しでも多く働いてお金を貯めようと頑張るわけで、それは労働最低賃金"叩き"を生み出しかねないし、また、アメリカ人から"仕事を奪っている"という批判に晒される原因にもなるのでしょう。今回の大統領選では、<移民問題>も大きな争点のひとつですが、実際に一生懸命に汗を流して働いている人たちは報われるべきだな、とつくづく思います。
先日CNNニュースを見ていたら、6月のインフレによる物価上昇率は 1,1% で、 一ヶ月の間に これだけ上がるのは26年ぶり。また、今年に入ってからの上昇率は5% だそうで、これは17年ぶりの記録更新だとか。ガソリン代については話にならないけれど、食品類の値上がりは確かにすごい。スーパー・マーケットに買出しに行く度に、レジに表示される数字に驚かされるのですね。先日だって(買いだめ購入したこともあるけれど)見る見る合計額が100ドルにも達してしまい、えぇ〜っ! 以前なら、"ちょっと多かったかな?"という時でも恐らく60〜70ドルで収まっていたと思うんですよね。
物価上昇と並行して、二大 Mortgage Banks が連邦政府の資金援助を受けなくては立ち行かなくなり、不況に伴い失業者がどんどん増えていく現状だし、ついにはアメリカン・ビールの王様:バドワイザー Budweiser(Anheuser-Busch社)がベルギー・ビールのジャイアント、InBev社 に買い取られるという一大事件が起き、アメリカ人の自尊心は大いに傷ついています。それでもブッシュ大統領は、"アメリカの経済は好調で、順調な伸びを記録しているから心配ない・・・"なんて、脳天気な記者会見をしているんだから、目も当てられません。一体、誰が、何処から、そんな情報を大統領に流しているんだろう???
この11月の大統領選挙で誰が後継者になろうとも、ブッシュさんの残していくツケは(イラクやアフガニスタン、そして環境問題も含め)莫大で、どうやって始末をつけるのか。いやはや大変な"遺産"なのです。
こんな息苦しい情勢ではありますが、これがアメリカのすべて・・・と思っては間違いですぞ。ミドルと下層階級の人々は幾重もの重圧に苦しんでいるのは事実ですが、さすが資本主義の下、階層・階級が徹底している国・アメリカ。富裕層に当たる人々には Sub-prime Loan問題なぞ何処吹く風。価格が下がったことを"これ幸い"とばかりに住宅を買い漁っている、と耳にします。いつの世も、持たざる者は苦渋を味わい、持てる者は更に豊かに・・・という図式に変わりは無いものですね。
さてさて、私のカントリー・ライフに話を移しますが、この2週間ぐらい"虫騒動"に悩まされておりました。ある日突然、大変な数の「蜘蛛の子」出現に遭遇。私はE .B. White 氏の『Charlotte's Web』(Charlotte というインテリ蜘蛛と Wilbert という頼りない子豚を主人公にした童話で、アメリカの子供たちの愛読書。昨年、映画化されましたね。Harper&Row出版社のものはGarth William氏の挿入絵が実に生き生きしていて、私の大のお気に入り!)を読んでから蜘蛛のインテリジェンスにすっかり感動してしまい、益虫なんだから・・・と擁護していたのだけど、ここまでいっぺんに激増してしまうと、そんな甘いことは言ってられない(フン、勝手なモンだ)。掃除機を片手に東へ西へ・・・家中を走り回っている私の姿を想像してみてください!まったく絵にもならないョ。
ご時世もあり、この頃はできるだけ有機栽培の果物や野菜を買っていることもあり、そこから生まれてくるのかしら・・・と全部チェックしたのだけれど、それらしい兆候ナシ。
こんな風に「蚊」の存在に過剰反応するのには実は悲しい理由がありまして、子供の頃から、私一人置いておけば周りにいる人たちは助かる − という因果な(クスン)体質なのであります。そして、刺されると真っ赤に大きく腫れ上がり、中々痕が消えない・・・。言ってみれば私にとっての蚊は「天敵」なのじゃ。
中南米に演奏旅行した時には案の定、その天敵による襲撃を受けました。あそこには恐ろしいデング熱を媒体する種がいるのだ! 我が身を護るため、現地日本大使館の方にお願いして、コンサート会場の舞台脇で「蚊取り線香」を焚いてもらったほど。後になって演奏時の写真を見たら、音響板の陰から白い煙がモクモクと上っているのが写っていた!アハハ・・・。そんな"気の毒な"身の上ですから、ジャズ・ピアニストの佐藤允彦さんから「香依さま」なんていう、一見典雅なお名前を頂戴しました。「かより」=「蚊寄り」なんて情け無いことで、本当に可哀想でしょ?
・・・と、こんな予期せぬ出来事に翻弄されたりしながらも、やはりカントリー・ライフには感謝することが多大です。まずは、緑が多くて、静か。マンハッタンが灼熱地獄でも、海辺に近い土地柄、こちらでは気温が必ず少し低めだし、海風も手伝って、夕方(凪状態になることもあるけれど)になると涼風が吹き、ホッと一息つけます。日によっては朝晩肌寒くなることもあり。そして最近の楽しみは蛍。
夕暮れ時になると庭の芝生のあちらこちらから ふわふわと蛍が舞い上がってくるさまは息をのむほど幻想的で、薄墨色に染まりかけた庭の灌木や紫陽花の陰にも青白い光がポッポッと浮かんでは消え、あたりに幽玄の世界が広がります。漆黒の帷(とばり)に包まれるまでの、僅か1,2時間のエンターテイメントなのですが、儚(はかな)い命が いとおしく思え、見入ってしまいます。窓辺に止まる姿はかなり大きくて15ミリぐらいはあるように見えるから<源氏蛍>かな?などと思うのですけれど、幼虫は水中で育つと聞きますから違うのでしょうね。我が家の周りには池や川はありませんもの。しかも我が家は「自然体」(?)で通しておりまして、芝生や紫陽花にも水遣りをしていない。このところのカンカン照りでは地面に水分なんか殆んどのこってないんじゃないかなぁ(カワイソウだよね、そのうち時間が出来たら水撒きしますから許してね)。ひと回り小さい<ひめ蛍>の幼虫は陸生で、木立や茂みの中で育つそうですから、それかしらん?
さて、そろそろ日本の酷暑を体験しに出掛ける日程が迫ってきました。覚悟、覚悟、と。
お暑い最中、どうぞ皆様、くれぐれもご自愛くださいますように。
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