| <いや〜、オドロキ・・・> | ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 2007年8月24日 記 |
  |
な、なんだったのだ、あの暑さは! いや〜ぁ、参りました。夜10時を過ぎようと、朝6時前であろうと、気温がまったく下がらない。玄関のドアを開けた途端、ムワァッとした空気が押し寄せ、一瞬たじろいでしまいます。いやはや、今年の夏はハンパじゃない。この数年、毎8月に帰国しているのですが、(前にも書いたと思うけれど)年々確実に気温が上昇してることを再実感。わずか2週間ほどの日本滞在でしたが、白旗上げてコウサン、コウサン。
なにやら忙しくしている内に4ヶ月もご無沙汰してしまいました。スミマセン・・・ このところのニューヨーク(郊外)は、ひんやりと寒くて、日本の皆様には申し訳ないのですが、つい先日は暖房を入れてしまいました(笑)。でも、アメリカ南東部は猛暑が続いているようで、テネシー州メンフィス(そう、あのエルヴィス・プレスリーさんの・・・)にいる友達に電話したら、”こっちは104度(摂氏40度)だよ”− との話。そうか、あの辺りはミシシッピー川があるから湿気もすごいし、不快指数も相当のものだろうなぁ。中西部の天候は大荒れ。オクラホマ州ではトロピカル・ストームの襲来、そしてオハイオ州でも大洪水− とのニュース。極端な天候、酷い暑さは地球規模ですね。それにしても、われわれを取り巻く環境は一体どうなっていくのか、気になるところです。
環境といえば、6月末から7月頭に掛けて『飛鳥U』船上コンサートのため、アラスカに行って来ました。
実は今回が3度目。第一回目は9年前(そんな昔だったとは・・・いや〜、ビックリ!)、2回目が3年前(2004年11月のエッセーを読んでくださいね) − となると、私もエクスパート(何の?)になった気分で状況比較ができるぞ、オッホン。 今回はお天気に今ひとつ恵まれず、曇りまたは雨 − といった天候が多かったのです。もっとも、連日のどんよりとした空模様は、お隣カナダの山火事の煙が原因との説明がありました。気温もグンと低くて、"氷河が見えま〜す""鯨が潮吹いてま〜す""ゴマアザラシがいま〜す"なんて放送がある度にデッキに飛び出しますが、吹き付ける雨風に、持っていったフリースなんかじゃ寒くて震え上がっていました。ラッコがいる!− との放送に、興奮して船端に駆け寄ったものの、肉眼じゃ、ゴミが浮いてるようにしか見えずガッカリ。そうだなぁ、双眼鏡持ってこなくちゃ話にならない。"水の中で手足プルプルさせて遊んでたのよ。とっても可愛かったわ〜"なんてお話をジッと聞くのみなのです。ク・ヤ・シ・イ!!
氷河が痩せこけ、色々な問題が多いといっても、矢張り見渡す限りの雄大な自然は見事。 空気は冷たく澄み切り、沈みかけた太陽の光線は周囲に見える山々をくっきり浮かび上がらせています。甲板を一周するごとに移ろう空は、黄金色から淡いピンク、そして薄墨色へ。ふと気付くと山陰からオレンジ色の月が少しばかり顔を覗かせ、振り返ると太陽はまだ其処にあり、最後の輝きを増しているのです。うわぁ〜、なんて美しいのだろう! 自然が醸し出す超現実世界に思わず息をのみ、立ち尽くしていました。もう一周して戻ってくる頃にはきっと月はもっと大きく姿を現せているにちがいない、と一人合点してたけれど、すでに月は何処かに姿を隠し、影形もありません。そうか、あれは自然がクリエイトした一瞬のマジック。<一期一会>の素敵な出会いだったのですね。
アラスカ州都ジュノー(Juneau)では、知人の友人宅を訪ねる機会がありました。 "ここからボートを出して氷河までトレッキングに行けるのよ。冬になるとこのあたりは大雪に覆われてしまうから、お腹をすかせた'はぐれ'一匹狼が餌を求めてやってきてね、ウチの12歳になる猟犬は怖さのあまり、毛を逆立ててブルブル震えてたわ。亡くなった主人も私もハンティングが大好きでね、友人たちと狩猟旅行によく出掛けるの。見て頂戴、其処に並んでるマウンテン・ゴートの角と頭蓋骨(10個ぐらいあったかも。他にも色んな動物の毛皮があちらこちらに飾ってある!)は狩猟の証として持って帰るのよ。狩猟して良い大きさにまで育っているかどうかは角の巻き具合で判断される。角が目元まで巻き切っていないと、違反狩猟としてすごい罰金を取られるから、必ず頭は持って帰らなくちゃいけない。私がマウンテン・ゴートをハントするのは、その肉が大好きだからで、食用以上の無駄な殺生はしないわ。自然保護団体の連中はアレコレうるさいけれど、動物が護られるのと同じだけの<権利>が我々人間側にも存在すると考えてるのよ。" う〜ん、スーザンさんは実に逞しい。一緒に居た友人が”日本じゃ、こんなスケール桁違いの生活なんて考えられないよ。なんだかツクヅク情けなくなってきた”とぼやいていらっしゃいましたねぇ。 今回、伴奏者として同伴したコレットは、6月上旬に友人たちに誘われてカナダに一週間、カィヤッキングとトレッキングの Wilderness Trip に初挑戦してきたばかり。蚊やアブの襲撃に耐えながら(ウキャー、蚊は私の天敵! 私一人置いておけば他の人は被害を免れる、というほど好かれて困るのだ!!)、カィヤックを漕いで次のキャンプ地までの移動を繰り返し、その日の食料は川で釣った魚。収穫無ければ夕食無し?ではキビシイけれど、手早くキャンプ・ファイアで料理して食べたら、それは美味しいだろうな。だけど、シャワーもお手洗いも無い生活(携帯用に工夫されたものは持参するようですが)するんだもの。みんな逞しくてスゴイよね。 ま、いずれはこんな原点に戻ったような生き方をしなくちゃ、地球がパンクする日が来るかもしれません。「文明」なんて"脆弱"なものですから。 スワード(Seward)で下船し、その日の中にロンドンに向わなくてはならなかった私は、セスナ機(定員3名=パイロットを含む)でコレットと共にアンカレッジに飛びました。 Scenic Mountain Air (www.Sewardair.com=観光用チャーターもあり) のパイロット、Jim は雪で飛行出来ないオフシーズン(4月半ばまで)はコロラド州に住み、スキーのインストラクターをしているとか。セスナ機は、悪天候だとすぐにキャンセルするから、アンカレッジまで飛べなくなる可能性がありますよ − と脅かされていたけれど、(寒くて曇り空でしたが)幸運にも信じられないぐらい無風状態の理想的飛行条件の下、車で3時間掛かる道程を僅か45分の飛行ですんなりとアンカレッジに到着しました。
上空から見る大地は一面の針葉樹林。蛇行する川、湖以外何も無いというのに、Jim に言われてよく目を凝らすと、湖の畔に確かに家が一件ポツンと建てられている。"あそこには水上飛行機で行くんだ。家主は自家用セスナ機を持ってるからね。" 文明社会から孤立した生活を好む人たち。自然を求め、でも、其処に生きようとしたら、矢張り人工的な"力"の助けが現代の人間には必要。こうやって<自然破壊>は我々の自覚以前に着々と進んでくんじゃないかな・・・そんな思いが頭を過ぎりました。
ところで、牛さんや羊さんたちのゲップ(oops!)が、車から吐き出される二酸化炭素に負けず劣らずの大きな環境問題になっている、って知ってました? ロンドンに居た時に The Times紙の記事を読んだのだけれど、英国内には1,000万頭の牛さんたちが飼われていて、一頭につき1日に何と100〜200リットルものメタンガスを放出しているとか。それは4,000gの二酸化炭素に相当するとのことで、因みに、車(Land Rover)一台、1日に33miles(約50km)走って排出する二酸化炭素は3,419g。しかも、メタンガスは一酸化炭素20倍の<温暖化影響力>があるんだそうです。いや〜、オドロキ・・・
国連のFood and Agriculture 機構の予想では、2030年までに家畜類が吐き出すメタンガスの量は現在より60%も増える見込みで、緊急対処課題なのだそう。反芻動物の胃袋でメタンガスが発生するメカニズムは未だハッキリ解明されてないらしいけれど、彼らが食べる牧草種を、高糖質でもっと消化のよい Rye Grass(ホソムギという牧草)や白クローバーに変えることで、腸内微生物が作り出すメタンガスの量を減らすことができるし、更にミルクや食肉の質も向上するという研究結果が出ているという。 まったく話は変わりますが、私が日本帰国中に、New York Times紙が細身になってしまいました。初めは何も気付かなかったのだけど、なんだか印象が違う。変だな、と思っていたら、横幅が1,5インチ(4センチ)ぐらい狭くなったのです・。細身にした理由は、と聞いたら”地下鉄内で読むのに、隣の人の迷惑にならないため”なんだって。確かに電車内で読む新聞が幅を取って扱い難い、ということはありましたが、これも資源節約と経費節減に直結してるんでしょうね。
と、環境問題に関心が高まったところで、次回11月16日(金)の<心のコンサート・その5>のゲストとして、国連環境計画金融イニシアティブ特別顧問の末吉(すえよし)竹二郎さんをお招きすることに致しました。末吉さんとは、彼がNYで銀行マンとして9年間滞在されていた時からの友人です。現在、TV番組:「みのもんたの朝ズバッ!」(月曜日)、「ブロードキャスター」にレギュラー・コメンテーターとして出演しておられます。アメリカのこと、環境問題のこと、色々と伺ってしまおう、っと。 まぁ、こんなに長々書いちゃって・・・これで暫く「エッセーお休み」ってことに又なっちゃわないよう、気をつけます! |
過去のエッセイ集リストへ |
Impromptu TOPへ |