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気概"に溢れたアメリカの <素敵な時代>

『アメリカ』とは不思議な国・・・永く住めば住むほど、そう思う。
一見、現実主義で、冷徹にも効率の良さをとことん追い求めているかの如く、でも折に触れ、どこかノホホンと、陽だまりの中で"在りし日"の余韻を楽しんでいるような、ちょっぴり"好々爺的性格"が顔を覗かす。

万人を分け隔てなく受け入れ、「皆是平等」(イーコール・オポチュニテイ)・・と理想に燃えつつも、片や保守主義・階級社会との葛藤の狭間に揺れ動く・・・でも、いつも"偉いな"と思うのは、そんな自分達の抱える矛盾、問題を決してウヤムヤに濁してしまわない、自己批判のしっかり出来る「健全な精神」の存在だ。それが、アメリカをアメリカたらしめ、『人種の堝』と言われるほどにまで世界中からの、ありとあらゆる人種を引き付けるのだろう。

ヨーロッパの、伝統で"がんじがらめ"になってしまった閉塞感―から自由を求めて新天地へ、そして個々の人間のもつ可能性に挑み、新しい「開かれた社会」の実現に向けて力一杯闘ってきた・・・
そんな「開拓者精神」への自負が、時折、他国の人たちからの"おせっかい呼ばわり"に曝される元凶
になるのかもしれない。でも、どう言われたってめげないところが、これまた、"大らか"―と言われ
るアメリカらしさ。その広大な自然・大地に象徴される特色なのだろうか・・・

そんなことを考えながら日本とアメリカの間を往き来していると、日本で紹介される"アメリカ"は偏っているのでは・・・という思いに駆られる。現代アート、ミュージカル、ポップス、ジャズといった部分ばかりにスポットが当てられるし、歴史も伝統も浅い国だから・・・と簡単に片付けられてしまいがち。しかし19世紀半ばから20世紀初頭にかけて、文化面での"猛チャージ"がアメリカで起こったことをご存知ですか?

独立精神と独創性が育まれ、夢と希望に溢れていた黄金時代:<アメリカン・ルネッサンス>。
そして、<ジャズ・エイジ>と名付けられた、作家、F.スコット・フィッツジェラルド(1896〜1940)の作品集:『ジャズ・エイジの物語』に由来する1920年代は、"Roaring Twenties"とも称される。
好景気に支えられた(1929年の大恐慌までの)この10年間は、「人類最後の大きな夢がアメリカにあった」と『グレート・ギャツビー』(フィッツジェラルドの小説)の中で語られるように、"何もかにもが薔薇色でロマンティック"だった・・・

新鮮な息吹とエネルギーに満ちたアメリカが音楽・文学・思想などの面で、どれだけ世界の人々を啓発し、影響を及ぼしていったのか。今、私たちが享受する現代文化の背景には"気概"に溢れた、アメリカの<素敵な時代>:"Good old days" がある・・・ということを、このシリーズで明らかにできることを願って・・・
大津 純子(7/1/2002)

コンサート Part1は、下記の日程で開催されました。
大津純子プロデュース/室内楽シリーズ その1
Good Old Days−音楽と文学で綴る懐かしいアメリカ
2002年3月11日(月)午後7時
●会 場:横浜みなとみらいホール・小ホール(座席数:440)
●料 金:4,000円
●主 催:日本経済新聞社、大津純子アメリカ音楽・室内楽シリーズ実行委員会
2002年3月14日(木)午後7時
●会 場:第一生命ホール:晴海・トリトンスクエア内(座席数:767)
●料 金:S席 5,000円  A席 4,000円
●主 催:日本経済新聞社、第一生命ホール、大津純子アメリカ音楽・室内楽シリーズ実行委員会
<両公演とも>
●後 援:アメリカ大使館、日米協会
●協 賛:日米友好基金
*社団法人・企業メセナ協議会認定公演*
●プログラム: アメリカン・トラデイショナル・スピリチュアル「デイ−プ・リヴァ−」
フレデリック・ディーリアス「レジェンド」
 
<対 談>
 

クロード・ドビュッシー「ゴリウォッグのケーク・ウォーク」
モーリス・ラヴェル「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」

・・・・・・・・・・・・・・・ 休 憩 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
<対 談>
 

アントニン・ドヴォルザーク「インディアン・ラメント」
エイミー・ビーチ「インヴォケーション」
佐藤允彦編曲によるメドレー;
  ルイス=モロー・ゴトシャルク「バナナ」〜ステファン・フォスター「金髪のジェニー」「夢みる人」
  〜スコット・ジョプリン「ジ・エンターティナー」〜ジョージ・ガーシュウィン「スワニー」〜
  ルイス=モロー・ゴトシャルク「トーナメント・ギャロップ」
アンコール;「エターナリー」
朗読作品:(柴田元幸訳)
マーク・トウェイン:ハックリベリー・フィンの冒険(1884)
F・スコット・フィッツジェラルド:グレート・ギャツビー(1925)
エミリー・ディキンソン:私は誰でもない! あなたは誰? ( c. 1861)
            小鳥が道をやって来た―― ( c.1862)


対談テーマ・内容:
・音楽と文学の分野でのアメリカとヨーロッパの違い
・アメリカに於けるクラシック音楽は“後発”であるのか
・アメリカがヨーロッパに与えた文化的影響
・アメリカの独自性とは?   ほか
●出 演 <演奏> 大津純子とその仲間たち: 大津純子(ヴァイオリン)
コレット・ヴァレンタイン(ピアノ)
佐藤允彦(ピアノ& 編曲)
和田 啓(パーカッション)
加藤真一(ベース)
<朗読>石田圭祐(文学座)
<お話> 黒田恭一(音楽評論家)
柴田元幸(著述家/東京大学助教授)
*写真 鈴木豊  [写真家]
*衣装 時広真吾 [服飾デザイナー]
*構成・演出 勝田安彦 [演出家・翻訳家・台本作家]
*照明デザイン 佐藤嘉晃
*アドヴァイザー 沖田大三郎[芸術学者・プロデューサー/桜美林大学教授]
*企画・制作協力 デュオ・ジャパン
出演者プロフィール
●佐藤允彦(ピアノ& 編曲)
1941年東京生まれ。慶応義塾大学卒業後、米国バークリー音楽院に留学、作曲・編曲を学ぶ。数々のリーダ ー・アルバムを製作し、国際的にも高い評価を得ている。スイング・ジャーナル誌「日本ジャズ賞」、芸術祭優秀賞など受賞アルバム・作品も数多い。作・編曲家としてテレビ番組、映画、CM音楽の分野でも活躍。
1997年、自己のプロデュース・レーベル <BAJ Record> を創設し、その活動はますます多面化している。
●コレット・ヴァレンタイン(ピアノ)
現在、ニュージャージー州ニュージャージー市立大学にて教鞭を取る傍ら、ソリスト、アンサンブルピアニストとして活躍中。その“澄んだ音色と煌めくようなテクニック”(ユタ州ソルト・レイク・トリビュ−ン紙)には高い定評があり、多くの共演ア−ティスト達からの賞賛を集め、共演CDアルバムも数多い。ニューヨーク、ワシントンDCをはじめとするアメリカ各地、さらにアジア、ヨーロッパにもその演奏活動の場を広げている。大津純子と共にそのメンバーである Ecco Trio(ピアノ・トリオ)は、ワシントン・ポスト紙他より“室内楽至上の親密さ・緻密さを醸し出す演奏”と絶賛され、CD『アメリカ』は1998年のレコード芸術誌による室内楽準推薦盤に選出された。
●加藤真一(ベース)
1958年北海道生まれ。15才でロック、ブルースにのめりこみ、その後アン・ミュージック・スクールで音楽理論とアコースティック・ベースを学びジャズに開眼、ライブ活動に入る。また、札幌交響楽団の藤沢光雄氏にも師事し、オーケストラや吹奏楽団でも活躍。85年猪俣猛トリオへ参加、その後ニューヨーク、東京と活動拠点を移しながら辛島文雄、木住野桂子、佐藤允彦、市川秀男、土岐英史らが主宰するトリオ、カルテットのレギュラー・ベーシストを勤めた。自己のグループ「ビー・ホット・クリエイション」でも活躍、全編独奏によるアルバム『Old Diary』の制作など、アコースティック・ベースの魅力にスポットを当てる活動を展開している。2001年にドイツ・ナゲルヘイヤーより発売された佐藤允彦とのCD『duet』は、英国のコントラバス専門誌「Double Bassist」でも紹介され高い評価を得た。
●和田 啓(パーカッション)
東京・浅草生まれ。10才の頃、ジュニアオ−ケストラに参加、パ−カッションを学ぶ。ほぼ同時期から“江戸里神楽”の松本源之助氏に入門、笛・太鼓を学ぶ。日本大学芸術学部在学中より音楽活動を開始。90年よりバリ島に渡り民族音楽であるガムランを学び、特に Kendang と言う両面太鼓にひかれ、A・A・グデ・バグース・マンダラ氏、ワヤン・ガンドラ氏の両氏に師事。現在、パーカッショニストとして多くのアーティストと共演する一方、作曲・劇作・脚本・演出も手がけ、精力的に活動している。海外での演奏活動も多く、日・韓・中・印のユニットによるインドネシア公演、能楽や民族楽器とによる「日本の伝統と現在」ヨーロッパ公演、また99年ゲーテ作「ファウスト」ヨーロッパ公演、「三島近代能楽集〜三島の女たち」ヨーロッパ公演などでは舞台音楽を担当・演奏。2001年の「ヴェニスの商人」欧州公演(イオン・カラミトル演出)では音楽監督を担当している。
●石田圭祐(俳優)
早稲田大学政経学部在学中に、文学座研究所へ入所。同大学卒業後、1981年に文学座座員となり、これまでに数多くの舞台を踏んでいる。最近の舞台では「女の一生」(文学座本公演)、「連鎖街のひとびと」「泣き虫なまいき石川啄木」(こまつ座)、「夢の裂け目」(新国立劇場)などがある。舞台のほか、映画「黒い雨」「眠らない街〜新宿鮫」への出演をはじめ、ラジオドラマ、テレビドラマ、CMナレーション、アテレコなどへの出演も多く、文学座を代表する俳優としてますますの活躍が期待されている。
●黒田恭一(音楽評論家)
1938年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。在学中から雑誌・新聞に執筆活動を始める。東急文化村オーチャードホール・プロデューサー、NHKテレビ・ラジオなどのクラシック音楽番組の担当をはじめ、『サライ』『暮らしの手帖』『レコード芸術』『産経新聞』『フィガロ・ジャポン』等にコラムを連載中。『はじめてのクラシック』(現代新書)、『オペラへの招待』(朝日文庫)、『水のように音楽を』(新潮社)、『ぼくだけの音楽』(主婦の友社)、『彼女だけの音楽』(マガジンハウス)他、多数の著書がある。
●柴田元幸(アメリカ文学者)
1954年東京生まれ。東京大学文学部助教授。アメリカ文学専攻。著書に『アメリカ文学のレッスン』(講談社現代新書)、『愛の見切り発車』(新潮文庫)、『猿を探しに』『死んでいるかしら』(新書館)、『翻訳夜話』(村上春樹氏と共著、文春新書)など。訳書にオ−スタ−『幽霊たち』(新潮文庫)、ミルハウザ−『三つの小さな王国』(白水Uブックス)、エリクソン『Xのア−チ』(集英社)、ダイベック『シカゴ育ち』(白水社)、パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』(みすず書房)、ゴーリー『うろんな客』(河出書房新社)、ブラウン『体の贈り物』(マガジンハウス)など。『生半可な學者』(白水Uブックス)で第8回講談社エッセイ賞受賞。